課題 | ||||||
プレッシャーボールは、容器開封後から、未使用の状態でも、徐々にボール内の加圧気体が漏出し内圧が低下するという問題が有りました。 |
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これまで対策 | ||||||
気密パッキンを設けた円筒型ケースの蓋部分をねじ込むことで、容器の体積を押し縮め、容器内の圧力を高めるタイプの商品が、欧米にて販売されていました。下の写真がそれで、外国製です。 | ||||||
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上記既存品を入手してテストしてみました。 | ||||||
■ねじ込みストロークが10cm前後あり、パッキンの抵抗も強いので、容易に開け閉めできない。 ■シリンダー部分が変形すると漏れが生じるので、ケースを丈夫にするため厚肉化せざるを得ず重 たくなる。硬質樹脂製なので、落下させるとひび割れが生じやすい。 ■風呂の中で、蓋をねじ込んむと、パッキン部分から 、空気の泡が間歇的に吹き出し、気密構造が保てていないことが判りました。(私が入手したものだけかもしれませんが、、、) |
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Stickingボールパックの着想 |
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上記のケースは、ボールの外側の空間の気圧を高めることで、ボールの内圧と均衡させて、空気の漏れを防ぐ、という構造でしたが、Stickingボールパックは、ボールの外側の空間を「0」に近づけて、ボールから気体が漏れ出る隙間を無くしてしまう、という発想で考案しました。 |
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ケースとボールを密着させるとどうなるのか? | ||||||
■ 僅かにケースを押し縮めるだけで、ケースの内圧を急激に上昇させることができるので、ケース の開閉がワンタッチで手軽に行えます。 ■ もし、ケース内圧の上昇が不十分な場合でも、ボールから漏出した気体が残存空間の気圧を急激に上昇させ、ボール内圧との気圧を均衡させます。 ■ パッキンにかかる動的負担が少ないので気体が漏れにくく、構造的にPET樹脂等での製作が可 能な為、軽量化、耐衝撃性、が高くなり、低コストで生産可能になります。 |
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既存品と、Stickingボールパックとの比較 | ||||||
従来品(外国製) | Stickingボールパック | |||||
重量 | 350g | 120g (3個連結) | ||||
材質 | ポスチレン | PETまたは、ポリカーボネイト | ||||
耐衝撃性 | 低い | 高い | ||||
気密性 | 低い | 高い | ||||
ボールの収容時間 | 40秒 | 15秒 | ||||
開け閉めに要する力 | 強い力が必要 | 弱い力で可能 | ||||
価格 | 1500円〜2500円 | 800円前後 | ||||
パッキン寿命 | 短い | 長い | ||||
外見 | ||||||
その他特徴 | 連結を繰り返して、長くできる。 |
Stickingボールパックの簡素化したモデルを作り、効果の検証をしてみました。
テストモデル
ケース本体 | ボールを入れる | 上部シリコン型セット | 蓋を閉める |
254cmの高さから、コンクリート床面に、テニスボールを落下させ、バウンドした映像をビデオで撮影し、背景のメジャーをもとに、コマ送りにて高さを測定。
10〜20回、繰り返し測定し、平均値を算出。
ボール@は、開封後のボールをそのままの状態で放置。
ボールAは、開封後のボールを、測定後にStickingボールパックに保管。
■開封後、約50日後までのバウンドの変化量測定値■
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ボール@ |
ボールA |
バウンドの差 |
スタート0補正 |
1週目 |
151.5 |
149.7 |
1.8 |
0 |
2週目 |
152 |
154 |
-2 |
-3.8 |
3週目 |
152.4 |
154.7 |
-2.3 |
-4.1 |
4週目 |
150.4 |
154 |
-3.6 |
-5.4 |
5週目 |
149.2 |
152.5 |
-3.3 |
-5.1 |
6週目 |
148 |
152.5 |
-4.5 |
-6.3 |
7週目 |
148 |
152.8 |
-4.8 |
-6.6 |
■テスト結果■
グラフ右のバウンド差のグラフは、Stickingボールパックに収納した場合に比べて、そのまま放置した場合では、時間が経つにつれて、ボールが弾まなくなることを示しています。
ボールパックの基本機能である「ボール保管中の空気漏れを防ぐ。」
と言う機能については、上記の実験で証明された。 と考えます。
バウンド量の変化について、想定外のファクターだったのは、外気温(ボールの温度)の影響で、温度が低いほどバウンド量が低下する、という顕著な傾向がみられました。
これは、冷蔵庫や冷凍庫で低温化したボールのバウンド量を測定した別の実験で検証しました。
つまり、ボール@とAのバウンド量は、気温の影響も等しく受けていたため、グラフ左のボールA(系列2)の値も大きく変化したようです。
Stickingボールパックを用いた場合の、減圧防止効果を具体的に推定してみます。
初期条件 |
代表的なプレッシャータイプテニスボールの構造寸法を測定してみると、 外径66o メルトン層の厚み2.8mm ゴム球の厚み3.2mm ゴム球の内径54mm 尚、ボール内圧を1.8気圧、メルトン部分の空隙率を50%と仮定する。 |
実施例 |
テストモデル1に示した例のケースで、ケース内径を66ミリとして、ケース閉止時にパッキンが密着開始後3mmのストロークで圧縮されるとすると、 |
ゴム球内空間体積 82500 mm3
ゴム球体積 115400
mm3
ボール体積 150500mm3
直径66mm 幅3mmである縮減ストローク容積 10300 mm3
ケース内容積(ストローク前) 150500+10300=160800 mm3
ケース内容積(ストローク後) 150500 mm3
ゴム体積 32900 mm3
メルトン実質体積 17600 mm3
3mmの加圧ストロークにより得られる、ケース内部の圧力上昇は、
ボールが入っていない状態では 150500+10300/150500=1.068
約1.07気圧となる。
ボールが入っている状態では、
{ (150500-115400-17600)+10300}/(150500-115400-17600)=1.5835
約1.58気圧となる。
この状態で長期間保管した場合、ボール内の気体が容器内空間に漏れ出す。
この際の平衡状態となる気圧を計算すると。
ケース内の総気体が1気圧の時の体積 82500×1.8+17600×1.58=176300
ケース内で、気体が占める事のできる体積 82500+17600=100100
ゴム球の内外で気圧が平均化されたとすると、 176300/100100=1.761
つまり、1.8気圧の内圧のボールを本発明ケース内に保管した場合、ボールの内圧と
ケースの内圧は約1.76気圧で平衡し、ボールの内圧はこれよりも低下することは無い。
尚、例えば何度目かの使用で1.6気圧になったボールを、再び本ケースに収納した場合、
同様に計算すると1.59気圧よりも低下することは無い。
以上、説明の通り、本発明のテニスボール保管用加圧ケースでは、従来のような長いストロークの圧縮密閉構造を必要とせず、ケース内の圧力を高めることができる。
即ち、ボールとケースの間の残存空間を最小化することで、ケース閉止時の僅かな圧縮ストロークでも効果的にケースの内圧を上昇させることができる上、ボールより漏出した気体により、ケース内部の気圧が高まる効果が顕著なものになる。
アレイケースは、片側がオスねじ、反対側がメスねじが形成されていて、半球カバーにも、夫々オスねじとメスねじが形成されます。
このため、アレイケース同士のオス側メス側を連続して繋げることで、3個以上に繋がったボールケースを組み立てることや、半球カバー同士を連結して、1個だけのケースとすることもできます。
また、係止構造としては、スクリューネジ以外に、バヨネット方式も可能です。
この他、Stickingボールパックは、下図のような二つ割ケースとして製作することも可能です。
コナリス エンタープライズ 代表 中川滋夫
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