BOOK BOX開発物語
ブックボックスが商品になるまでの道のり

開発の経緯
 シェルポボックス完成後、軽くて、丈夫で、耐水性が有る、この異質な質感のケース素材を何か別の用途に使えないものだろうか。。。
と、あれこれ考えいじくり倒しているうちに、ふと辿り着いたのがブックカバーでした。
 シェルポボックスのケースの中に、本を入れる。。。という大まかな概念からのスタートでしたが、最初にピンときたのは、入れる本を文庫本や新書にすると、ヘナヘナの表紙の本がビシッとしたハードカバー本のように生まれ変わるのではないか。。。?という点と、サイドリブのついた密閉式ブックカバーの異質性。
 それからマグホックは、このまま使ってもなかなか面白そうだぞ!!というイメージでした。
 私はモノの扱いが大雑把なので、カバンやナップサックの中で文庫本が踊り、本の角が痛んだり、ページが開いて汚れたりした記憶が有ったから、箱型のケースで本を包みこむという発想が生まれたのかもしれません。

文庫本とハードケースが頭の中ではドッキング

ファーストトライ
 シェルポボックスの蛇腹の代わりに、文庫本を固定するべく普通のブックカバーのように、表紙部分をボックスの内側に仮固定してみました。
 すると...ありゃりゃ...ケースを開くと文庫本の表紙が根本から引っぱられて破れてしまうし、開いても破れない状態で固定すると、今度は表紙が突っ張ってしまいケースが閉じられなくなる。
 こんな単純な、ものとものとのドッキングでも、簡単には行かない所が面白いところです。
 で、その時に思ったのは「なーんだ。いままで、ハードカバー型ブックケースが世の中に無かったのは、こういう理由なんだ!このハードルを越えれば、今までに見たことの無いような面白い商品ができるゾ!!。。。」
 というわけで、ブックボックスプロジェクトの最初(で最後であって欲しい)の難関は、本とケースの装着方法となりました。

閉じてピッタリでは...開くと引っぱられる!


開いてピッタリでは...閉じると くねる!


従来のカバーでは、カバーの方が謙虚に表紙に歩み寄る。

セカンドトライ
 
この、表紙のつっぱり&くねりの問題の解決策は約3週間後、自然にポロッと産まれました。(特に閃いたきっかけなどは無いのですが、頭の熟成が進んでいたようです。)
 要するに、本の表紙とカバーの表紙を密着させようとすると、どう頑張っても、開閉時の歪みは解消されません。それ以外の取り付け方法を考え出す必要があったのです。
 ケースを閉じた状態と開いた状態で接しているべき箇所は、表紙の付け根部分だけであり、この部分を無理なく連結させる為の要素を付け加える。。。
ということがポイントでした。
 この連結部材として、装着シートを考案したのですが、装着シートの材質、形状、大きさ、にも工夫が必要でした。


材質…何度も繰り返して折れ曲がるシートは、折り曲げ耐久性が高いPP(ポリプロピレン)フィルムに限定されました。厚すぎると本の表紙に負担がかかり、薄すぎると扱い難くなるとともに、本を保持するだけの剛性がなくなります。最適な厚みは、0.3ミリに落ち着きました。

形状…(何でもそうなのですが)端に加わった力は、応力が集中します。本の表紙も同じで、根元の端に力が加わると、破れる恐れが高くなります。そこで、表紙の根元の真ん中付近に力が加わるように、装着シートに切り込みを加えました。

大きさ…装着シートの幅が小さいと、本の紙カバーの端が、ぶらぶらしてとても不都合です。幅が大きいと、本の表紙部分がゴワついて、違和感が生じます。シートの幅は、紙カバーを一緒に挟み込める範囲で最小寸法となっています。

出来上がってしまえば、工夫の跡も判らないほどシンプルな構造ですが、これは、コスト、耐久性、使い易さという点からもGOODでした。(^^)(^^)(^^)

          

サードトライ
 
当初、サイドリブのついた密閉式ブックケースというイメージも有ったのですが、「重くなる」「高くなる」「デカくなる」の三重苦で、あえなく思いは消え去りました。(耐水ケースにしてしまい、風呂場用に生きる道は残っているかも)
マグホックも、想像通りの軽快感でした。
 こうなると、欲が出るもので、もっと高級感を出したい!本物志向で勝負したい!という思いから耐水エンボス紙の代わりに、スエード調の布と、革(合皮ですが。。。)を貼り付けたモデルも作成してみました。素材の価格もさることながら、切り出し、貼り付けの手間がとてもかかり、かなりコストアップしそうですが。。。質感は、さすがに良いです。

ワンタッチの快感は、気ぜわしい私にもピッタリ。


現在の課題
@布、革が、同程度のコストで貼り付けできるものか。。。
Aしおり…独自の工夫を取り入れた「しおり」ができないものか。。。
B2連装式の開発。
C風呂場で使えるモデルの開発。
Dポケット取り付けタイプ。
E照明装置つきタイプ。

■2006/4 追記…
外注会社の協力で、布、革も材質によっては、若干のコストアップで貼付けが可能になりました。
現在、内側にポケットを取り付けたものをテスト中。

■2007/10 追記…
@本革もラインナップに加わりました。結局外注せず自分で貼り付けています。
Aまだできていません。
Bそのままの状態でも、本とノートなど、2連装が可能。。というスタンス
Cお風呂用モデル完成『ブックボックスお風呂用』
Dオプションでポケット取り付け可
E薄型ライトで試作しようとしましたが、まだできていません。
現在のスペック
重さ50〜70g (材質の種類で重さが変わる)
寸法    縦 横 厚み  153×123×27mm
対応する本の厚み  L 300〜650ページ  M 150〜350ページ

■2006/4 追記…
基本サイズを変更しました。
標準品=Mサイズ  230〜500ページ
在庫品のみ対応= Lサイズ 300〜650ページ
           =Sサイズ  150〜350ページ

■2007/10 追記
対応可能サイズが下記の4種類に増えました。
文庫サイズ  200〜500ページ   
新書サイズ  200〜500ページ
四六版サイズ 厚み 21o
A5サイズ   厚み24o

開発当初のLサイズに収めた、左…367ページ(風と共に去りぬ 1巻)
 右…720ページ(飢餓海峡) スペックオーバーでホックが閉め辛いです。
(現在、550ページ以上の本は、カスタマイズでないと収まりません。)


どういうものが有り、相場は。。。
 
最も手軽で、確度の高い市場調査方法として、ネットオークションを利用することができます。
 私の分析では。。。ブックカバーは、素人が自作品で出品しやすい分野ということもあり、様々な柄のオリジナル品がありますが、構造はどれも類似していて、布製のものです。平均的な出品価格は、500円前後ですが、落札率は5パーセント前後のようです。(自作品でもっと安いものや、プレミアムものもあるので、平均落札率はもっと高いですが。。。)
 また、市販モデルで1つ3000円以上するような高価な革製モデルも出品されてますが、ほとんど売れている形跡はありません。
 ちなみに、楽天などのショッピングサイトでブックカバーを探すと、やはり、布製モデルと革製モデルに大別され、価格は800円〜2000円(布製)、2000円〜4000円(革製)と言う感じで、オークションサイトは、定価の半額が相場という値ごろ感がここでも立証されました。
 つまり、逆にいえば、オークションで落札される平均価格の2倍程度が、その商品の適正定価と考えることもできます。
ドキドキ(*^_^*)ハンズ訪問
2005/12頃 できたてホヤホヤのブックボックスをハンズ三宮店に紹介してみました。 まだ、価格や、細かな仕様が決まっていない状況でしたが、ある意味では、この段階で相談した方が、担当者の意見(世間の動向)を織り込めるし、良い点が有ります。
 結果、えらく気に入っていただき早速置きたい、とのことで嬉しい話でした。
担当者に気に入っていただいただけでも、万々歳\(^o^)/です。

 ちなみに、ハンズ三宮に置いてあるブックカバーは、布製と革製で、価格は600円〜3000円程度、合計、40種類前後が並んでいましたが、文庫本用のサイズが8割以上でした。
 と、ここで思いついたことが。。。ハンズ等で売っているブックカバーは、柔軟な素材なので、ピッタンコに畳めかさばらない状態で在庫できますが、我がブックボックスは、ガッチリ立方体なので、陳列時に場所を取るな〜。良い風に考えると、陳列時に他のブックカバーと大きく差別化できるかもしれない、けど、ブックカバーと気がついてくれないかもしれない。

2006/5 追記…
ハンズの担当者には申し訳ないのですが、大手ルートでの取扱の可能性も出てきて、価格の擦り合わせの必要から、数ヶ月間、ほったらかしにしています。 連休明けに、突撃だ〜。
2007/11 追記… 
ブックボックスシリーズは、布地、西陣織、本革と表装種類が増え、サイズも4サイズが規格品として揃いました。
更に、透明フィルムカバーが水滴から、本を守る「ブックボックスお風呂用」や、ブックボックスを常に携行できる「ブックボックス ショルダー」が完成しました。

今後は、苦手な営業で、徐々に販路を拡大していこうと思います。。。。




2007年10月時点で、150種類以上の色柄のブックボックスが揃っています。

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