ShellpoW-BOX 開発物語 |
忍び寄る品切れのカウントダウン
これが、完売となったシェルポWタイプ。
シェルポシリーズで、最も人気の高かったWタイプの外側ケース部分が、製造元の都合で仕入れられなくなるのが判ったのは、2003年末。
毎日数個のペースで順調に売れて、最も価格の高い主力品の品切れは大きな痛手で、次期代替品の開発(または仕入れ)が大きな課題となった。
CDケース大捜索 その1
まず家電ショップをあちこち廻り見つけたのは、50枚収納用のチャック式WサイズポーチケースA、
厚手の布地でしっかりした縫製、かなりいい感じの質感!で早速京都に本社のある某メーカーに電話。しかし、。。。
予想通りというか、「直販はしません。ご入用の際は、代理店に、、、」
という事で、1次代理店を幾つか紹介してもらいましたが、例えばこれが、丸紅○×△というような商社さま。取引口座がないと、全く相手にしてもらえない。しかもこちらの発注オーダーは、100個から、、、、はっきり言って鼻にもかけて貰えないのである。
まあ、よく出くわす社会の壁なのですが、しかし、こんな壁でもなければ、やりがいはない。諦めたわけではないけれど、こういうパターンは、もし仕入れられたとしても、せいぜい小売価格の50%程度。小売価格が1800円のケースなので900円前後になると予想され、予算をオーバーしてしまう。
ちなみに、こういう場合、最も有効な作戦は、先方の社長または、偉い方にお会いして、当方の商品を見てもらい、興味を持って戴く事が第一です。面白いと感じてもらえれば、普通は開かれない扉も、相手から開いてもらえるものです。
大手ブランドのWサイズポーチ ケースA
CDケース大捜索 その2
次に、発見したのは、ネットオークションで出品されていた、スケルトンPP製のチャック式ハードケース48枚収納用のケースB。まずは、オークションで購入してみました。 品物は、半透明のスケルトンが他のケースとは一味違った印象でなかなかいい感じです。手にもってみると開閉する時、手にピッタリなじむ感じが多少乏しい。(これは、滑りやすい材質と、指に引っかかりの少ない、クリンとした形状の為だと思う) ジャバラを取り付けてみると、スケルトンのケースごしにジャバラの端面がスケスケで具合が悪い。何とかならないかと思案した結果、ジャバラをケースに直接貼り付けず、ケースにセパレーターと呼ぶ仕切り板を張り付け、ジャバラをセパレーターに貼り付けるという方法を思いついた。セパレーターのおかげでジャバラが透けて見えず、ケースとセパレーターの間にジャケット等も収納可能になり、更にこれまでネックであったジャバラの一番端のディスクの取り出しも容易になる!!正に災い転じて福となった瞬間であった。 ケースに貼り付けてあった輸入業者△○インポート社をネットで探し出し電話交渉。その結果。 現在生産しているのは、96枚用のケースCみとのこと。ガックリ。一応見積もりを取ると、約700円。はっきり言って高い。だめ元で、電話でぶっちゃけ交渉すると、金型代の償却分が入っている、、、とのこと。値段は交渉の余地ありともとれたが、何分96枚用は分厚い。採用するには一工夫必要だ。 先方は、輸入専門の業者で、話を聞くと、通常の布地製Wサイズポーチであれば、更に半額近い価格で入手することは可能なようで、今後、商品を提案していただくことになった。この場合、中国国内の半流通品を引いてくるという流れになるが、心配な点は、 @発注ロット A品物の質 Bサンプルと入荷品の差異 というところか。 △○インポート社の話しでは、最近の国内のユーザーは沢山入るモデルを欲しがってきているとのこと。!!やはり、ビデオテープの代わりにディスクが用いられ始めている証かも。。。 |
48枚用のケースB 96枚用のケースC
オリジナルケースは無理なのか?
普通に見かける布製のチャック式CDケースや、樹脂ケース製のCDケースを、シェルポに最適な形に設計し製作すると、どうなるか。。。。。 一番のネックは、初期コストと、発注ロットの問題です。 中国発注計画は、、、、 一昨年のことですが、大阪にあるカバンの製造メーカーを、知り合いに紹介してもらい、一連式のごく普通のCDケースを見せて見積もりを依頼したところ、最低の発注ロットが50000個で、価格は150円程度でした。中国でオリジナル品を作る場合、生産工程のティーチングや、生産準備、搬送コストなどから、数千個の発注では、非常にコストが割高になってしまうとのことでした。 発注ロットが50000個では、保管スペースもないし、そんなお金も無い。。。。。 樹脂製オリジナルケース開発計画は、、、、 ハンドル用日除けグッズ「ジャバマル」を作る際にケース部分の樹脂成形を行いました。金型代は、品物の大きさに比例する傾向にあり、成形時の加工単価も、大きさに比例して跳ね上がります。 私の経験から約30×30センチ程度の、品物の場合、金型代が200〜300万円。加工単価は、 2000個の場合100〜200円といったところでしょうか(素材の費用も含む)。。。。。樹脂製ケースならとても斬新デザインと機能を盛り込むこともできますが、、、誰か300万円貸して〜〜〜。 |
では、オリジナルケースは、貧乏発明家には、夢のまた夢なのか。。。 私には、1つの秘策があります。それは、トムソン型で厚紙または、樹脂板を成形するという方法です。この加工は、切抜きと、穴あけと、折り曲げ線の加工を同時に行い、出来上がったシートを折り曲げ、接着していろいろな形に仕上げるというモノです。(昔、雑誌の付録でよくお目にかかったヤツです。) トムソン型方式のどこが凄いかというと、、、、 金型メチャ安〜〜展開図の寸法にもよりますが、40×60cm程度の大きさの型で、2〜3万円前後。 加工費ムチャ安〜〜上記寸法で、発注ロット1000枚で一枚あたり15円(材料費は別) 場所をとらない〜〜トムソン加工後のシートも、平らなままなので、重ねて保管でき、省スペース。「また部屋が狭くなる〜」と女房に叱られずに済みます。 自由度が高い〜〜工夫次第で、自分の目指すカタチを作れます。既製品にとらわれず、様々なアイデアを試すには最適。 と、まあ、いいことずくめのトムソン型方式ですが、問題点も無いわけではありません。 紙なので〜〜どうしても耐久力が低く、水にも弱いのでヘビーデューティーな使用にはむきません。 後加工が〜〜シートを折り曲げ、貼り付けケースに仕上げるのに、時間と手間がかかり、下手な設計をすると加工賃換算分が跳ね上がります。(まあ、自分で夜なべ仕事すればいいだけですが、、、) もうお分かりと思いますが、以前に商品化したカートンシェルポは、この方式の商品です。 これまでのCDケースとかなり風合い、質感が異なりますが、特にステーショナリーグッズやデザインこだわりを持っている人に好評なようです。 しかし、トムソン型でタブルサイズのカートンシェルポを作るにはもう1つ大きなハードルがあります。 |
トムソン型で抜いたカートンシェルポの厚紙
トムソン型方式の弱点
それは、シートの強度と加工性の問題です。大型になるほど、シートの強度を高くしなければ、ふにゃふにゃした感じになってしまいますが、シートである紙厚は、カートンシェルポに使用した0.8o〜1o程度が限界です。(これ以上になるとトムソン加工時に折曲げ線部分で紙が割れてしまったり、後加工で折り曲げた際、紙自体が何層かに剥がれてしまったり、折曲げ部分が戻ろうとする力が強くなり、加工や接着が難しくなる) いつしか、頭の中では、トムソン型方式のカートンシェルポは、小型の1連式が精一杯、という先入観が植え付けられていました。 |
厚い紙は、トムソン加工により剥離しやすくなる
これは使える!!かも
実は、、、、ワタクシ週に2度ほど、スポーツDEPOという大手スポーツショップで早朝に品出しのバイトをやっております。家計の足しと、やったことの無いような仕事をしてみたいという目的からですが、どういう商品が売れ筋か、消費の今を感じることができると同時に、密かにパッケージングやデザインの勉強にもなってます。 ある日、インラインローラースケートのパッケージを見ていてふと、「あ!なんだ、これでええのんちゃうん」と思いました。その箱というのは、中央から仏壇のように観音開きになる紙箱で、私のインスピレーションは、左右の観音扉と箱の底面にジャバラの両端を張り付けると、左右に孔雀のようなジャバラが広がる両開き式(上下にも配置してジャバラ4連式)というものでした。 この構造もさることながら、よーく考えてみると、何気ないこの箱の素材が、十分な強度をもっていることにハッとして、じっと見てみると、なんと単なる薄い段ボールだったのでした。 先入観というのは怖いもので、トムソン型に使う紙は厚紙と勝手に決めていましたが、薄い段ボールでもよかったのです。ちょっと注意してみる、とあるわあるわ、薄い段ボールを使った箱は例えばお菓子の箱や、通販のパッケージなど、珍しいモノではありませんでした。(しかし例えば文具店で厚い表紙のファイルなど沢山売ってますが、さすがに段ボール製は、ありません。(これは言い訳)) 薄い段ボールだとどこがいいのか!! 紙の腰を強くするには、紙を厚くする必要がある。しかし厚くすると上述のように(トムソン加工時に折曲げ線部分で紙が割れてしまったり、後加工で折り曲げた際、紙自体が何層かに剥がれてしまったり、折曲げ部分が戻ろうとする力が強くなり、加工や接着が難しくなる)ということでしたね。 段ボールにするとこの3つの問題が全て解決されるのです。 なんだか、ちょっとしたブレークスルーという感じです。! |
ブレークスルーといっても、使えそうな素材を見つけたというだけで、課題は次々に出てきます。 その前に、薄い段ボールとは、、、、 みかん箱のような厚い段ボールはA段、それより多少薄いB段、そして化粧箱などで厚紙の代わりに使われることのある、E段、さらに薄いF段といろいろあります。(C段、D段というのは、聞いたことが有りません) 表面と裏面に使う紙をライナー、真ん中の波板をフルートといって、それぞれに紙種を選定することで、さらに様々な仕様の段ボールが出来上がります。私が見つけたE段は、総厚が1.5o程度で、特に表面の平滑性が高く印刷にも向いているものらしいです。 E段使用時の課題 課題 その@ ペッキリと折れやすい。 E段は、同じ重さの厚紙よりも遥かに腰がありますが、折り曲げていくとフルートに平行な向きにペッキリ折れてしまいます。折れた部分は、スジが入り、見栄えが良くなく、同じ部分で折れやすくなってしまいます。 課題 そのA 段ボール素材のままでいいのか。? 無印良品風と割り切れば、いいのですが、普通は色、柄、模様をケース表面に施したいものです。 通常は、白色ライナー紙の表面に印刷を行い、この紙を使って、段ボールを作ることで、柄模様入りの段ボールが出来上がります。私が見つけた観音箱もこのタイプです。見積もりは取っていませんが、多分恐ろしい量の最低ロットを要求され、4色グラビアの場合、版下代も10万円を下らないのではないか?と予想されます。(それでもできてしまえば、激安単価のケースになるのでしょうが、、、) これでは、せっかく見つけたE段も容易に使うことができません。 課題 そのB 水に弱い。 段ボール素材のままでは、水に弱く、また、耐磨耗性も高くありません。 |
新しいモノを作るときは、ハードルがつき物です。小さな課題を解決することの積み重ねが新しい商品造りの根幹です。 順番にまいりましょう。 その@ ペッキリと折れ曲がりやすい。。。という問題は、 E段の紙質を変えて強度を増すという方法と、段ボールまたは補強紙を積層させて強度を上げるという方法を併用できそうです。 そのA 表面が段ボール素材のままでは、、、という問題は、 ヒントは、お菓子の紙箱でした。E段の表面にレザックという特殊な化粧紙を張り合わせた素材が、中仕切り板に使われていたのです。化粧紙を張り合わすことで、印刷をしたもの以上に段ボールが付加価値の高い素材に変身します。 日本のどこかに、段ボールと化粧紙を低コストで張り合わせてくれる会社がある!!という確信は、大きな心の支えになりました。 インターネットを駆使して、多くの段ボールメーカーにコンタクトした結果、2つの会社を突き止めました。その内1社は潰れてしまったのか、連絡が全然とれず、残るもう1社に電話でコンタクト。。。 ○△パッケージというその会社は、正に私の探していた通りのモノを商品としていました。 早速、見本帳(段ボールのサンプル)を送ってもらうと、あるわあるわ、E段の表面(または両面) に張り合わせ可能な化粧紙が合計数百種類!!これは感激です。 さて、一番気になる発注ロットとu単価ですが、これもクリア!! 極端な話、Wボックスシェルポ1冊分からでも発注可能で、発注毎固定費は3000円程度と、想像していた以上に安価。(但し、u単価は通常のE段に比べると破格に高価。パッケージとして使う場合、コストの点から印刷になるのでしょう。) そのB 水に弱い。。。という問題は、 通常、紙の耐水性を高めるには、ニス引きやフィルム張り、という方法が用いられます。つまり、紙の表面に透明ラッカーのような撥水性の物質を塗ったり、PPやPETフィルムを紙の表面にラミネートするというものです。可能であれば、かなりコストアップしてでも何とか耐水性を高めたいと考え、○△パッケージ社に、その旨伝えてみたところ、、、製造工程の関係で、どちらの方式も全く不可能とのこと。 これまで取引をしていた△□紙工会社にE段への化粧紙の貼合とその表面へのフィルムラミネート加工をしてくれる会社を探してもらうべく、見積もりを依頼しました。2股をかけたカタチですが、こちらのルートは段ボールの製造工程で化粧紙を張り合わせるのではなく、出来上がったE段へ化粧紙または、PPフィルムをラミネートしてもらう為、平米単価はかなり高価になることが予想されます。 PPフィルムのラミネートができれば、化粧E段の後加工を△□紙工会社に依頼できるという算段です。しかし、目下の所、E段表面にPPのラミを加工できる加工先は見つかっていない、とのこと。 化粧紙の貼合方式は、初期コストと発注ロットの点以外にも印刷方式と比べていい点があります。 印刷の場合は、薄い印刷層がはがれると、下地が現れるので、すぐに剥げた感じになってしまうが、張り合わせ方式は、表面が剥がれても下地まで同じ素材なので剥げた感じにならない。 また、紙質によっては、耐磨耗性が高いものや、多少は耐水性のあるものが選べる。という点です。 |
レザックという紙を貼合したE段
試作は定規とカッターナイフで
頭の中では出来上がっているケースのカタチを目の前に再現するには、段ボールをカッターナイフで切り抜いたり、折り曲げ線の位置を決めて実際に作っていくしかありません。試行錯誤を繰り返しながら少しずつシェイプアップしてそれらしいカタチに仕上げていく作業は、なかなか楽しいものです。樹脂成形の金型の場合、最低でも0.1ミリ単位で寸法を決めていきますが、トムソン型の場合は、1ミリ単位が基準で、これ以上細かな寸法は指示できず、ある意味、かなりアバウトです。 試作に使う紙は、本番と同じモノを使わないと意味がありません。○△パッケージにお願いすると発注予定のサンプルを作っていただき送ってもらうことができました。 さあ、ここからが、正念場。ケースにもアイデアを盛り込むぞっと。 |
試作の必需品3点セット
ケースに盛り込む工夫 その1 カラーチップはきっと便利だ
シェルポのユーザーには、一人で10冊〜20冊以上購入して頂いている方も少なくありません。 そのようなユーザーの方のご意見で多かったのが、ジャンル別に分けたいけど、ケースの柄は統一したい。というものです。一目でジャンルを見分けられるように、しかもジャンルの変更に対応可能で、デザイン性も考慮したい!! 私の選んだ解決策は、差し替え可能なカラーチップを背表紙に差し込むというものでした。 ポイントは、@外観のデザイン。A判りやすい差し替え方法。B単純な構造。です。 最初に試作したのは、背表紙に縦長の細長い窓を開け、裏側からカラーチップを差し込むタイプの写真 のタイプです。背表紙部分を3重の構造にする必要があり、取替えは、ジャバラの真ん中を持ち上げる必要がありました。 次に試作したのは、背表紙に丸い穴を2つ開けた写真 のタイプです。この穴の裏側にカラーチップ を挟んで固定する構造を付け加えました。カラー厚紙は、Z型に折り曲げた構造でなければならず、取替えは、やはりジャバラの真ん中付近を引っぱり上げて行う必要がありました。 その次に試作したのが、背表紙に横長の窓を開けた写真3のタイプで、カラーチップを背表紙の表側の角の部分から差し込む構造にしました。カラーチップは長方形の切りっぱなしで良く、構造も3つの中で一番シンプルです。 何人かの知人に外観のデザインを見てもらいましたが、3番目の方式が一番人気が有りました。 カラーチップは、上質の色付きカード紙で200sでは腰が足らず差込時に紙がくねってしまい×。 300sのものは、十分に腰があり○。それ以上になると、分厚すぎて差込の抵抗が増えすぎて×。左右の窓に同じ色を入れる事もあるので、8色のカラーチップを各2枚、計16枚程度付属する予定。 (写真の7色+黒) 録画DVD機の普及で、邦画 洋画 ドラマ スポーツ 学習 その他 ジャンル別に大別してディスクを保管しようとする人が、きっと便利に使ってくれると思います。 |
チップ表示窓の試作例 これが1番人気でした。 チップは、8色×2(16枚)付属予定
ケースに盛り込む工夫 その2 開き止めは不可欠だ!
実際に試作したWボックスモデルの中にディスクを50枚入れると、結構な重さになりました。 ケースを開くと、ディスクの重みで背表紙部分が反り返るように開いてしまうことがあり、ディスクが落下する危険もありとても使いにくいことが判明。開き止めは、不可欠です。 まず、左右のサイドガードの上部同士を布テープで直結してケースが180度以上開かなくしてみました。すると、表紙は、180度以上開かないものの、背表紙と表紙の角度は、何の拘束力も無く、背表紙だけが、グネグネと角度を変えてしまい、安定しません。(少しわかりづらいですが、、、) そこで、背表紙に対して、両表紙が90度以上開かないようにする為、背表紙の真ん中付近とサイドガードの上部を布テープで連結してみました。これで使用感は非常によくなりました。が、布テープは、変に折れ曲がって、ケース外側にはみ出す恐れがあります。 次に、布テープの代わりに、PPシートに折れ線を入れて、背表紙の真ん中付近とサイドガードの上部を連結しました。その結果、非常に安定して機能する開き止めになりました。 |
PP製の手作りストッパー
ケースに盛り込む工夫 その3 探せ!背見出しラベル
シェルポのユーザーから頂いた意見で特に多かったのが、「見出しラベルをつけて欲しい」というものでした。 見出しラベルは、既存のラベルシートを張り付ける方法と、ケース本体の背表紙部分を切り抜いて、タグを差し入れ可能にする方法があります。カートンシェルポの生産で、極力手間のかかる加工はしたくないので、貼付け式の背見出しラベルを探しました。 この背見出しラベル、最初は、インターネットで検索すれば、わんさか出てきて、苦も無く探せると思ってましたが、結果は、ちょっと予想外。検索ワードで該当する言葉を入れて、半日以上悪戦苦闘するが、収穫なし。数日後やっと何とか引っかかったのは、なんと、コクヨの製品カタログリストでした。サイズ41×100ミリの透明ポケット、裏粘着付きの見出しポケットでした。価格は9枚入り220円。東急ハンズ取り寄せました。 モノは、なかなかいい感じですが、コクヨの製品を使うというところに抵抗がありました。普通、コクヨのような大手販売ネットで流れるものは、すごく多くのマージンがかかっていて、製造者が素材として購入するというのは有り得ないという先入観があったからです。 別の地元大手文具店でコクヨの上記商品を「1000枚買うので7割引してくれまいか」、とお願いしたら なんと、その商品は、廃番になっているとのこと。 同等品は、かなりサイズが違ってしまう。 他のメーカーで出ていないか探してもらうと、ライオンとプラスから出ていました。てっきりこちらの方が安いと思っていたら、なぜか逆に割高。とりあえず見本を購入してみたら、一番安い最初の廃番コクヨ品がダントツにいい感じ(非常に残念)、、、、 さらにその後のネット検索で、背見出しラベルの製造会社を突き止めました。先方手持ちの金型を使ってもらい適当なサイズのラベルの見積もりを取ると、1枚10円。しかし裏の両面テープは無く、中に入れる紙が必要な場合、別途5円。しかも材質が塩ビ ということで、決して安くなく、手間もかかるので、今回は見送りの予定。 今後、ロットが増えた際にサイド見積もりをお願いしよう。 |
ケースの顔、背見出し部分のあれこれ 手に入った貼付け式背見出しラベル
ケースに盛り込む工夫 その4 ホックなら♯5番
ケースの蓋を止める方法は、ホックか、マジックテープだと(勝手に)決めていました。マジックテープの場合、E段表面の紙の種類によっては、マジックテープが剥がれ易いものもあるので、紙種の選定に注意が必要です。 ホックには多くの種類がありますが、試行錯誤の結果、着脱の強度が適当なのは、S字ホックの♯5のタイプだということになりました。ホックは、取り付けるものの厚さが決まっていますが、E段2枚重ね(3ミリ)というのは、かなり厚く、使用限度ギリギリの寸法です。 その他の固定方法もありますが、、、マグネットホックは、磁石に抵抗を持つ人がいるため(フロッピーや磁気カードへの悪影響)ここは無難にさけておきたい。 プラスチックストッパーは、ケース側面に出っぱりができてしまい、すっきり並べて置けなくなる。 という問題があります。 |
試作したケースにホックを取り付けて開閉してみようとした所、フタの部分に指が引っかかり難く、非常に開けにくい。ふたの部分をケースの表紙面よりでっぱらせると、指が引っかかりやすくなるけど、ケースを並べて本棚に納めた時に、この出っ張りが隣のケースに引っかかってしまいそうである。また、もうひとつの問題として、いつも指を引っ掛けるこの部分は、痛みやすいので、特に強度を高める必要がありそうです。 そこで、フタに取手状のツバをつけることにしました。素材は、リサイクルの観点からも厚紙にします。 厚紙を使用した場合、切断面が、モケモケに剥離しないように、また、指への感触を良くする為に、 折り曲げて使用することにした。しかも、自前で容易に準備できて、デザイン的にも面白いもの、、、、 ということで、考えたのが、写真の取手である。 この取っ手は、カートンシェルポのトムソンカットシートを、折り曲げ線が中心になるように円カッターで切り抜いたものを、半分に折り曲げて接着した、半円形のものです。これをケースのフタの外側(ホックの上の部分)に接着して出来上がりです。指はツバに引っかかり、開閉はとてもスムーズになりました。 何人かの友人にみてもらった所ところ、デザイン的にも気に入ってもらったのですが、皆さんの評価は、いかがでしょうか。?? |
ツバの無いフタの部分 円カッターで切り抜いた半月型ツバ ツバを貼り付けたケース
ケースに盛り込む工夫 その6 コメリさん ごめんなさい。
ケースの側面を構成するサイドブロックは、幾つかの形成方法を試行錯誤しました。ポイントは、 @強度、A製作の容易さ、B材料コスト、Cデザイン の順です。 大きく分けて、ケースのE段を(複雑に)折り曲げることで、ボックス構造にして、サイドブロックとする方法と、別のブロック状素材をケースの両サイドに取り付け、サイドブロックとする方法があります。 E段を折り曲げてブロックにする方法は、何種類も試作しましたが、強度の点でやや劣り、また、製作に手間がかかることから、今回は、見送りました。 最終的に、ブロック状素材をケースの補強シート(E段)の両サイドに貼付け、これをケース組み立て時に接着するという方法で落ち着きました。 ブロック状素材は、リサイクル可能素材で低コスト、小ロット発注が可能なものという事で、いろいろ探しました。発泡スチロールの低発泡体(これはかなり丈夫なものです。)や発泡スチレン、間伐木材、 積層段ボール、などを試しましたが、最終的にチップボードともよばれるパルプ系高密度集成材にいきつきました。この素材は、木材よりも寸法安定性が非常に良く、価格が安価です。 そして、何より、近くのホームセンター「コメリ」で、この素材を買うと、20カットまで切断を無料でしてくれるので、加工賃がタダなのです。これからどんどん使わせて頂きます。 |
切断してもらったチップボード 補強紙に貼り付けたチップボード
ケースに盛り込む工夫 その7 接着方法で強度が変わる!
E段は、普通の厚紙に比べて、重量あたりの剛性(腰の強さ)は格段に高いです。このE段を重ねることで、更にハードなケースに仕上げることができます。普通に考えると、素材を2枚重ねると、強さは2倍になると思いがちですが、実は、最高で8倍にまで強くなります。(物理的には、厚みの差の3乗に比例して強度が上がります)。ただし、重ねた素材をしっかり接着していないと強度は上がりません。 シェルポでは、ケースの表裏面を2枚重ね構造にしていますが、接着方法は、両面テープ方式と、木工ボンド方式と、澱粉のり方式で、強度、加工性、のテストをしました。 その結果 @両面テープ 曲げ剛性 3.5倍 問題点 高い やり直せない A木工ボンド 曲げ剛性 5倍 問題点 加工時にちょっと臭い B澱粉のり 曲げ剛性 5倍 問題点 乾くのに時間がかかる 紙がやや反る C速乾ボンド 曲げ剛性 6倍 問題点 加工時にとてもヤバイ臭い という訳で、木工ボンド方式に決定予定 |
試作と平行して行う耐久テストは、不可欠です。 通常、繰り返し使われることの少ない段ボールをケースに使う為に、今回は、特に耐久力が気になる所です。 左の写真の折り曲げ部分は、わずか200回の開閉テストで破断したもので、こうなっては最悪です。このケースは、サイドブロックの寸法がケースの厚みよりも分厚かったので、破れるのは、当然のことでした。サイドブロックの寸法調整は、無論のことですが、ケースの折り曲げ部分の強度を上げる方策に取り組みました。 @ ケース裏側に補強テープを貼る。 最初に試したのは、こういった用途の製本テープというものです。基材は再生紙とのことで、非常に不安でしたが、案の定ほとんど役に立たない代物でした。 次に試したのは、フィラメントテープの種類で、基材がPP系の繊維でできているものでした。これは、非常に効果的で、テープ自体が折り曲げにより劣化、破断することは全く無く、E段折り曲げ部分の強度アップに大きく寄与しました。 A 段ボールの折り曲げ箇所のRを大きくする。 例えば一箇所で90度折り曲げるのと、45度の折り曲げ部分を(例えば2ミリ間隔で)2箇所設けるのでは、紙に対する負担が半分以下になります。また、複数箇所を折り曲げるという概念は、折り曲げのRを大きくする(ピシッと曲げずに、丸みをもって曲げる)という意味にもつながります。 テストした結果、紙に対する負担は、Rを大きくすることで、格段に小さくなりました。 B 折り曲げ型のエッジで段ボールを傷つけない。 折り曲げ線を入れる刃がシャープな場合、何回か、折り曲げを繰り返すことで、E段の裏ライナーが 破断してしまいます。刃の厚みを太くすることで、破断を防げます。 以上の対策で、折り曲げ部分の強度アップを図りました。 さて、どの程度、耐久性が増したでしょうか。。。。。 |
破れてしまった折り曲げ部分 E段裏側に補強テープを追加 製本用テープは弱かった。
折り曲げ耐久テスト
シェルポWボックスは、最低でも10年以上お使いいただける耐久力を持たせたいと思っています。私の家のビデオテープは、10年以上昔のものも現役で沢山残っていて、又、ケースが破損して、わざわざCD(DVD)を入れ替えるというのは、許されるべきことではないからです。 1日平均10回ケースを開閉するとして、15年間には、10×365×15=54750 折り曲げ部分は、約5万5千回の開閉に耐える必要があります。 さて、開閉テストですが、開閉サイクルを1秒としても、5万5千秒(つまり15時間16分)かかります。 (うーん、こりゃ大変だ。) ここはひとつ、モーターを使った開閉耐久テスト装置を作ろうと決心しました。開閉テストと平行して、指がケースに擦れる現象も再現して、耐磨耗性も同時に検証したいと思います。 |
耐久テスト その1
開閉耐久テスト装置は、ぐるぐる廻る棒の外側に、段ボールを固定し、段ボールの先端に棒が引っかかった時、段ボールが引っぱられて折れ曲がり、ある程度折れ曲がると、元に戻るというシンプルなものです。 テスト要項 開閉回数 6万回以上 開閉角度 0度(直線)から120度(化粧紙面が外側) 開閉サイクル 1.8秒 テスト結果 サンプル1 ハーベスト貼り付けE段 0.5o折り曲げ刃 結果 折曲線がやや白っぽくなる。 破れや、弱くなった感じは、全く無い。 擦れ部分は、多少テカるのみ。 サンプル2 ハーベスト貼り付けE段 2o折り曲げ刃 結果 折曲線がやや白っぽくなる。 破れや、弱くなった感じは、全く無い。 擦れ部分は、多少テカるのみ。 所見 約8万回の開閉テストにもかかわらず、段ボールの劣化が見られないので、意外に耐久性の高いことは判りましたが、強化のための方向性は見出せませんでした。 |
耐久テスト その2
上記のテスト装置は、実際の使用状況に近い折り曲げを再現しましたが、はっきり言って、甘すぎたようです。もっと過酷にギシギシゆわせなければなりません。そこで、開閉耐久テスト装置パート2 を作りました。 これは、折り曲げ線が設けられた段ボールの先端に重りを取り付け、段ボール自体を観覧車のようにくるくる回します。重りの為に段ボールの先端側は常に下に折れ曲がろうとするので、段ボールには180度近い折り曲げ角度と、反転した際の反動で、30度程度の逆曲げも加わります。また、重りの反転により、複雑な力が、折り曲げ部分に加わります。 サンプル1 (ハーベストE段 2o折り曲げ刃 裏ファイバーテープ) 結果 サンプル2 (ハーベストE段 2o折り曲げ刃 裏ファイバーテープ無し) 結果 サンプル3 (コート絹目E段 2o折り曲げ刃 裏ファイバーテープ) 結果 サンプル4 (コート絹目E段 2o折り曲げ刃 裏ファイバーテープ無し) 結果 |
新型のWタイプカートンケースは、以上のような行程で出来上がりつつあります。(2004/5/13) 基本構造をまとめてみると、、、 ◆大きさは、A4サイズ…A4用に設定した収納スペースにピッタリの大きさ。 ◆積み重ねられ、立てても安定する百科事典形状…本棚への収納を前提にしている。 ◆高い耐久性…傷みやすい折り曲げ部分でも、15年は使える耐久力を目指す。 ◆ローコスト…沢山のディスクでもWボックスで統一した収納ができるように、低コスト化。 ◆持ち運びに重た過ぎない程度の大量収納…私の主観では、50枚前後でしょうか。 ◆開き止め…使い勝手を考えると、開き止めは不可欠。 ◆カラーチップ…背表紙の一部分に差し替え可能な色紙を差込み、ジャンル別に色分け可能。 ◆タイトルラベル…これも不可欠。差し替え可能タイプであること。 ◆防塵性…長期間の保管でも隙間から塵が入らないように。 ◆開閉ワンタッチ…カートン製ということで、ホックまたは、マジックテープ方式。 ◆(場合によって)リーフレットの収納スペースを設ける…一部ユーザーの意見でもある。 ◆製作しやすい構造…生産担当である私の意見でもある。 ◆懸案…引っぱり出し易いようにリングホールのような取っ手部分を付けるか…しかし穴にするとホコリが入るし、取っ手をつけると出っぱってしまうし、、、何か名案は無いものか? ざっとこんな所でしょうか。 |